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「いえ、この絵は、犬じゃないんです」 「えっ?! 犬じゃなかったんですか?」とウルフ刑事は真っ赤になった。  すると、タバちゃんママは困った顔をして、タバちゃんに声をかけた。 「タバちゃ、これは何を描いたんだったかな?」 「比嘉(ひが)のおばちゃんでつ」 「……すると、この絵は犬じゃなくて、シーサー! うまいぞ、タバちゃん!」とヒロ先輩は手をパチパチと叩いた。  ウルフ刑事はシーサーの絵が比嘉課長の奥さんだということにうなずいていいものかどうかわからなかったので、絵を見るフリをして、うつむいていた。 「ええ、まあ、そういうことかもしれませんけど」とタバちゃんのママは、さりげなく比嘉夫人がシーサーに似ているという部分を受け流して言った。 「大事なのは、なぜうちの塀に、比嘉さんの奥さんの絵が描かれたのか、ということなんです」 「タバちゃんは、遊園地でアンという幽霊とも、えー、なんというか、仲良くしていましたけど……、でもこの絵が心霊現象なのかどうかはどうなんでしょうねえ」 「私どもも、心霊現象だと決めつけているわけではないんですが」
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