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 幽霊にそんな協力をしてもらえるなら、警察はずいぶん楽になる。しかしウルフ刑事は信じられず、不審そうに眉をひそめた。 「そうしたら夫が、心霊現象なら得意なのが最近入ったから、と言って、ヒロ刑事とウルフ刑事を紹介してくれたんです。お二人には、心霊現象なのかどうかを調査してほしかったんですよ」 「と、得意じゃないです!」とウルフ刑事は悲鳴のような声で否定した。  ただでさえ幽霊が怖いのに、得意分野だと思われて、幽霊案件を増やされたらたまらない。署に帰ったら、課長に訂正しなくては、とウルフ刑事は固く決心した。 「幽霊の仕業だとして、なぜそんなことを?」 「それを調べて欲しいんです! 心霊担当刑事さん!」 「違います。そして無理です」  ウルフ刑事は即座に断った。胸ポケットに秘めた退職届がカサッと鳴る。この封筒にも、いよいよ活躍の時が近づいているのかもしれない、とウルフ刑事は思った。 「ドーナツ、食べましたよね?」 「いえ、食べてませ……」とウルフ刑事は言いかけたが、隣でドーナツのかけらを慌てて口に詰め込んだヒロ刑事がゴホゴホとむせたせいで、声がかき消されてしまった。 「食・べ・ま・し・た・よ・ね?」
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