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「……はい」  ヒロ刑事とウルフ刑事は、テーブルの下でつつきあいながら、仕方なくうなずいた。 「それに、タバちゃが犯人を捕まえるのに一役かったんですよね」 「ええ、まあ」 「つまり、タバちゃが犯人が逃亡しようとしていることをお二人に知らせなかったら、犯人を取り逃がすところだった。そして、次に狙われるのは私だった、ということなんですよ!」と、シーサー夫人は二人を大きな目でぎょろりと睨んだ。 「あ、そういえば、なぜタバちゃんは犯人があのアパートにいるとわかったんですか?」と、ヒロ刑事が話をそらした。 「ああ。それは偶然なんです。お友達の家に遊びに行く途中で、窓から出ようとしている犯人を見かけたんだそうです。ね? タバちゃ」と、ママがタバちゃに聞く。 「ハイでつ。タバちゃが歩いていたら、お姉ちゃんが、この道は危ないから、って言って、一緒に行ってくれたのでつ。あのお兄ちゃんの家の近くまで来たら、お姉ちゃんが『危ないから止まって』って教えてくれたのでつ。そうしたら窓からお兄ちゃんが出て来たんでし。窓から出てくるなんて、あやしいのでし!」 「どうして僕たちがいるのがわかったの?」 「楽しそうな声が車の中から聞こえたんでつ。窓から覗いてみたら、遊園地で会ったお兄ちゃん刑事さんたちだたでつよ」 「楽しそうな声……。そ、そうなんだー」ウルフ刑事は真っ赤になった。「ええっと、塀にいたずら描きをしたのは誰か、タバちゃん知ってる?」 「女の人だたでし」 「女の人、っていうと、家まで送ってくれた人?」 「あの日、タバちゃは一人で帰ってきましたよ」とタバちゃんのママは首を傾げた。 「もー。タバちゃは一人じゃなかったって言ったでつよー。お姉ちゃんが一緒に帰ってくれたんでし。お姉ちゃんと、塀に絵を描いていた女の人は別の人だたでつ」
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