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 ヒロ刑事は「ん?」と言って、ウルフ刑事の方に向けていた体を反対側にひねって、横の窓の方に振りかえった。 「なんだ、ただの女の子じゃないか」と、ヒロ刑事が呆れたように言った。  ちょっぴり太めなヒロ先輩の体で窓が隠れて、車内を覗き込んでいる小さな女の子の姿が、見えなかっただけだったのだ。  ウルフ刑事が手を伸ばして、窓を開けようとすると、女の子はイヤイヤするように頭を小さく振って、犯人のアパートを指さした。 「ん?」と、二人が女の子の指さしている方を見ると、犯人が二階の部屋のベランダを乗り越えているところだった。 「ヒ、ヒロ先輩!」 「捕まえるぞ、ウルフ!」 「ハ、ハイッ!」  二人は張り込み用のレンタカーから飛び出した。そして犯人がベランダから雨どいを伝って、地面に飛び降りたところで飛びかかった。 「確保!」ウルフ刑事が犯人の腕をガッシリとつかんだ。 「ちょっ! オレが何をしたって言うんだよ!」と犯人が暴れながら叫ぶ。 「ただ、窓から外に出ただけで罪になるのかよぉ!」 「確かに……」と、ウルフ刑事はうなった。
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