霊能者と黒い服の男~登~

2/2
前へ
/5ページ
次へ
「こんなことをして許されると思うな?一族の者が黙って見逃しはしない」 久賀が、唇を破るほどに噛んで吐き捨てた。 「へえ、そうか。いつでもどうぞ」 登は、自信があるのか、危機感がないだけなのか、のほほんと答えた。 先ほどとは別人のように見える。 「そんなことより覚悟はしておけ。俺たちみたいなこの世の理をねじ曲げる者は、地獄みたいななまぬるい所には行けないぞ。罪を償うのを許されることも、誰かが助け上げてくれることもない。ただ何もない闇を彷徨うだけだ。この世でも、あの世でもな」 登はそう呟くと何事もなかったように立ち去り、残された久賀はその場に崩れ落ち、いつまでも心を手放したままだった。 c4002c3a-666b-4b0a-b914-daba77b633da
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

66人が本棚に入れています
本棚に追加