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__へっ?
美し、過ぎる?
雷に打たれた__ことはないけど、そんな感じの強烈な痺れが体を貫いた。
そんなストレートな褒め言葉は、いつ振りだろう?
かくいう私も、大学の頃はミスキャンパスに選ばれること数回。いつも準ミスどまりで、準子なんてアダ名をつけられていた。決して1番にはなれない、2番目どまりの女__。
いや、そんなことは今はどうだっていい。
肝心なのは、この目の前の年下くん。彼こそ、いつも1番で居続ける王子様。私はそのお妃に選ばれたのだ。
一見、無造作に見えるがその実、計算し尽くされたウェーブを描くヘアー。瞬きの回数だけ、女性を口説き落とせるのではないかと見紛う、印象的な瞳。バランスの取れた鼻筋に薄めの唇、それらがお互いを殺し合わずに鎮座する。まさに完璧とは、このこと。
一体、なにを恋の神様にお願いしていたのか__?
あっ、そうか。
きっとこれ以上、女性が寄ってきませんように。
そう願った矢先、30代の年上女が現れたというわけだな。
彼にとって、ただのお世辞だったに違いない。私にとっては、心の渇きを潤うのに充分な魔法の言葉だったが。
致し方ない。
ここは身の丈をわきまえて立ち去ろう。第一、私は年下の男が嫌いだ。
少し冷静になってみると、初対面で軽々しく言うセリフではない(天にも昇る心地だったのはさて置いて)。ただのナンパ野郎だ。私が1番嫌いなタイプじゃないか。
その間も、軟派野郎は私を凝視している。
居たたまれず、軽く会釈してその場をあとに__。
しかし次の瞬間、膝から崩れ落ちるように年下男子が私によりかかってくるではないか‼︎
思わず抱きとめると、その憂いを帯びた瞳がすぐそこに__。
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