プロローグ

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プロローグ

4e3c9bef-5de8-4b7d-9532-a88a7373c1df ------------------------ 1.幼き頃の記憶 ------------------------  透き通ったやわらかな波が、小さな女の子の足もとを何度もくすぐっていた。  ザザー、という波の音に少女が怯えたのは最初だけ。  すぐに浅瀬で波と戯れ始めた。  海というものが、しょっぱいと自分の舌で知ったのは、この時だった。  跳ねたしぶきが口に入り、飲める水じゃないと、本能的に体に刻まれた。  すぐ後ろの真っ白に反射した砂浜から、祖母が一人彼女を見守っている。  少女が水面から顔をあげて、手を振れば、そのたびに祖母は笑顔でそれに答えていた。  だから、安心して一人水遊びをしていた。
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