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1.大腐死蝶の動き
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ズズズと、まるで芋虫か何かの幼虫のような
大腐死蝶が立ち上がって、地面に接した体をうねらせて動き出した。
羽はあるが、ボロボロの傘のようで飛べるものではなさそうだった。
グランデフトは、ゆっくりゆっくり島の中央、ピラミッドがある方向に向かっている。
汚染水施設は、跡形もなくつぶされていて、真っ黒な跡が残っているだけだった。汚染水をグランデフトがすべて吸い上げてしまったためか、溢れてくる様子はなかった。
デフトたちは、吸い寄せられるようにグランデフトに吸収されていく。それに加わらなかったデフトたちは、新しい行き場を探すように宙を飛んでいた。
「マノン。そのままほとりを連れて、セリカ・ガルテンに向かって。そして、ゲートを壊して」
ミズホが、辺りを警戒しながら言った。
「はい。でも、ミズホさんは?」
「あれを止める」
「それなら、私も」
「あなたは、セリカ・ガルテンに行って。デフトたちが混乱している今のうちに」
「あれほど大きなデフトを一人では絶対に無理です。ここにある水でどうにかできるほど――」
マノンとミズホの視線が重なった瞬間、二人の間で時間が止まったようにほとりは感じられた。
「――あれは、ダメです」
マノンが言うも、ミズホはグランデフトを追い抜いて、ピラミッドに向かって飛んで行ってしまった。
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