9.島を救う光

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9.島を救う光

3b9bf130-12e0-4e37-9f67-086c9528bebc--------------------------- 1.大腐死蝶の動き ---------------------------  ズズズと、まるで芋虫か何かの幼虫のような大腐死蝶(グランデフト)が立ち上がって、地面に接した体をうねらせて動き出した。  羽はあるが、ボロボロの傘のようで飛べるものではなさそうだった。  グランデフトは、ゆっくりゆっくり島の中央、ピラミッドがある方向に向かっている。  汚染水施設は、跡形もなくつぶされていて、真っ黒な跡が残っているだけだった。汚染水をグランデフトがすべて吸い上げてしまったためか、溢れてくる様子はなかった。  デフトたちは、吸い寄せられるようにグランデフトに吸収されていく。それに加わらなかったデフトたちは、新しい行き場を探すように宙を飛んでいた。 「マノン。そのままほとりを連れて、セリカ・ガルテンに向かって。そして、ゲートを壊して」  ミズホが、辺りを警戒しながら言った。 「はい。でも、ミズホさんは?」 「あれを止める」 「それなら、私も」 「あなたは、セリカ・ガルテンに行って。デフトたちが混乱している今のうちに」 「あれほど大きなデフトを一人では絶対に無理です。ここにある水でどうにかできるほど――」  マノンとミズホの視線が重なった瞬間、二人の間で時間が止まったようにほとりは感じられた。 「――あれは、ダメです」  マノンが言うも、ミズホはグランデフトを追い抜いて、ピラミッドに向かって飛んで行ってしまった。
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