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愛子と復縁
復縁して愛実が産まれて、俺は滝沢文具に転職をして、愛子は仕事を続けて朝は戦争、家事は分担、愛子が遅番の時は協力して愛実のお迎えに行く。
忙しい日々に幸せが詰まっていて、毎日が楽しかった。
それでも愛子曰く…落とし穴ってあるんだね。
そう、落とし穴ってあるんだと思った。
自分は何とも思っていないのに好意を寄せられて、断っても迫られる怖さを知った。
人生は色々あると思ったけど、愛子が階段から落とされた時は自分が死にそうな気持ちだった。
あんな思いはもう二度としたくない。
本当に俺は愛子を不幸にしか出来ないんだと思ったけど、愛子は俺を何処までも幸せにしてくれる。
その時も愛子のお人好しに救われた。
当時は諦め半分、納得のいかない気持ち半分だったが、こうして何年も経ち、お見舞いに来てくれる姿を見ると、幸せそうで愛子の決断に間違いはなかったと思う。
入退院を繰り返す中でたくさんの人が見舞いに来てくれた。
幸せそうな様子を見ると俺も幸せな気分にになれるし、嬉しそうな愛子を見ると俺も嬉しくなった。
家で療養する前、梅雨の終わり頃、絶対に来ないと思っていた人が来て、俺は心から驚いた。
だけどすぐに、その人を呼んだのが愛子だと分かった。
こんなとこも…愛子らしいと思った。
もう時間がないと医者に言われたのかもしれないとも考えたが、愛子の優しい配慮に感謝して、10分程、二人で話をした。
安藤彩香、今は林 彩香。
幸せにしたくて出来なかった人。
心から…愛した過去の人。
彩香と話しをして、林さんと愛子が病室に入ってきて、あの時は楽しい時間を過ごした。
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