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気付く間もなく…。
優一に夕食前に風呂に入れてもらい、寝室で着替えて愛子にタオルを渡す。
「お疲れ様でした。今日はもう寝ましょうね。」
と言われて、愛子へ不満気な顔を向けた。
そんな俺の顔を見て愛子が困った顔で訊き返して来る。
「疲れたでしょう?」
「時間が早いから少し休むけど、声掛けて欲しいな。愛子は大変だろうけど出来れば…一緒に…。」
愛子の事を考えれば、このまま今日は寝る方が負担はないのかもしれないが、それでも一日の締め括りは愛子と話をしたかった。
くだらない話でいい、一緒に笑い合いたかった。
「大変なんかじゃないですよ?誠一さん、自分で歩けるしバランスを取る為に肩を貸すだけですから。じゃあ少し眠って…愛実のテレビが終わった頃に様子を見に来ますね。」
「うん、お願いします。」
風呂に入る事でかなり体力を消耗し、疲れた体は柔らかい布団に包まれると、スーッと眠りに落ちた。
三時間程して、カタンという音で目を覚ますと、愛子が横に立っていて、サイドボードの引き出しに何かをしまっていた様な気がした。
「愛子?」
「あ、ごめんなさい、起こしちゃいましたね?愛実、部屋に行きましたけどどうします?」
「あぁ、そんな時間か。起きる。」
布団を手で跳ねると、愛子が背中の下に手を入れて、起き上がるのを補助してくれる。
カーディガンを羽織らせてくれて、俺の横に同じ様に腰掛け、肩に手を回させて、腰の辺りの寝巻きをグッと握った。
「立ちますよ、…せーの!」
その声で同時に立ち、愛子とリビングのソファへ向かった。
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