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菰田響子はとんでもない美人だ。
そこには薔薇のような華やかさはない。蝶のような鮮やかさもない。
ただ、ほころびはじめた蕾のような可憐さがある。秋夜に鳴く虫たちの声のような慎ましさがある。歴史を経て、いまなお建ちつづける教会のような静謐さがある。
しかし相手の心をかき乱すような美しさが欠けていたということでは断じてない。それどころか、菰田響子には華美な人物以上に人を魅了するものがあった。
しばしばそれは、相手の嗜虐性を引き出すほどに……
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