透明な君へ

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『ままー!つぎはあれー!あれのりたい!』 『どれー?』 3歳の娘が指さした方向には、メリーゴーランドがあった。 『あー、あれはパパと乗りな。』 『えー?ままは?ままがいい!!』 『だーめ。ママは先約があるの。』 『せんやくってなーに?』 『ほらッ!パパと並んできな!』 ふたりは仲良く長蛇の列の最後尾についた。 私は少し離れたベンチに座った。 透真 あれからずいぶん経ったね。 あれから私は大恋愛を3回経て それぞれ失敗して、泣いて、泣いて。 その後好きってよりかは 安心するって人と出会えて結婚したんだよ。 私似のかわいい娘も産まれたの。 (旦那は俺似とか言うけど。) いっぱい悩む事もあるし 毎日大変だけどすごく充実してる。 あのとき、透真が背中押してくれて こっちに戻ってきて良かったって 今なら素直に思える。 透真、そっちはどうですか? お腹空いてない? 寒かったりしない? 寂しくない? 「大丈夫だよ」 ほんとに? 「うん。だから、ゆっくりでいいよ。」 うん。わかった。 ゆっくりいく。 でも、迎えにくるの忘れないでよね。
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