透明な君へ

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『透真!!』 振り返ると、もう金髪の男の子の姿では無く まだ病気になる前の黒髪の透真が笑っていた。 私は透真に飛びついて、強く抱きしめた。 『バカッ!なんで死んだのよ! 居なくなるなっていったのに!!』 『うん…ごめん、ごめんね。』 違う。透真はなんにも悪くない。 悪いのは、いつまでも透真を言い訳にして 先に進めない私。 『僕の、最後の心残りだったんだ。』 『心残り?』 『姉さんをメリーゴーランドに乗せてあげたかった。』 『そんな事?もっと他になかったの? 友達と遊びたかったとか、彼女とか…』 『ない。きっと僕の世界の真ん中は いつも姉さんだったんだ。』 楽しい時間はいつか終わる。 ずっと回り続けて欲しいと思っていたメリーゴーランドも段々と速度が緩やかになり ゆっくりと静止した。
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