透明な君へ

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『姉さん、もうここでお別れだよ。』 『やだ!私もここに残る!』 木馬にしがみついて全力拒否。 『ダメ。ここに永く留まると もう向こうに戻れなくなる。』 『いいもん。どうせ戻ったって…』 『姉さんは生きなきゃだめだ。』 『たくさん笑って、泣いて、怒って 恋愛して、失恋も経験して、結婚とか …ほんとはちょっと嫌だけど。 子供も産んだりしてさ。 僕が見れなかったもの、全部見てきて。 それで、僕にも教えてよ。 その時になったら、今度は僕が迎えに来るから。』   『本当に?』 『うん。そうしたら、またメリーゴーランドに乗ろう。』 『………わかった。』 『待ってる。絶対に。』 もう一度お互いを抱きしめあって 世界は白い光に包まれた。
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