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code 1 バイト中だが?
都内のカフェ―。
お昼以降には様々な規模の女子会が開かれているようです。その内容も実に多様である訳で。
お花のようにフワフワしたものから泥水香る、ギスギスしたものまで。
え、私のおすすめですか?
そうですねぇ、個人的には女子大生のそれが一番平和なのではないかと思いますよ。
おや、あそこにいますね、女子大生が。ちょっと覗いてみましょうか。
「―でね、もうクッタクタよぅ。」
「え~!!早く辞めた方が良いって、その居酒屋。」
「でもねぇ、辞めちゃうとアタシ、来月からノーインカムなのぉ、、、。」
「バカね~。女は体が資本よ?さっさと辞めて実家から仕送りしてもらいなって~?」
「パパと揉めてるからぁ。ちょっと無理ねぇ、、、。」
ね、見ていて飽きないのが女子大生なんですよ。それにしても、バイトをやめたいという相談を持ち掛けている子がいますね。
さて、どうなるんでしょうか?
「ねぇねぇ、そういえばマイマイはなんかバイトしてないのぅ?」
「お~い、マイ~??」
「あっ、え、ウチ?」
「そうよ~、どうしたのぼ~っとして。」
「あ、まさかぁ。一目惚れかしらぁ??」
「いやいやいや!!そんなんじゃないよ!!」
「うそだぁ、さっきからあの男の人見つめてたでしょぉ!!」
「え~!!どれどれ~??」
「ほら、あそこの!! 今注文してる人よぅ!!」
女心と秋の空とはよく言ったものです。話題転換の速さも女子大生を見ていて飽きない所以なのでしょうね。
ということで、色恋話に花が咲きそうな様子。
「ホントに、そんなんじゃないから、、、。」
「へ~、ああいうのがタイプなのね~。」
「ダンディーなタイプかぁ。あなた、渋いわねぇ。」
あらら、「マイ」と呼ばれた子は、顔を真っ赤にして俯いてますね。
うむ、分かりやすい。
思わずニヤニヤしちゃいましたよ、私。
「え、ちょっとちょっと、マイ~!!」
「あの人もこっちチラチラ見てるわよ~!!」
「あらぁ、まさかの両想いならぬ、両一目惚れかしらぁ??」
「ウ、ウチ、喉乾いたから飲み物取ってくる!!」
「ちょっとマイマイぃ、まだコーヒー残ってるわよぉ。」
恥ずかしさのあまり席を立つマイマイちゃん。
一体どこへ行くのでしょうか?一緒に後を追ってみましょう―
ってあれ?スマートフォンを取り出していますね、、、。
っと、ひとしきり何かをメモした後、どこかに電話しているようです。
成る程、どうやら恥ずかしがっていたのは演技だったみたいですよ?
「951753」
これまた女子大生らしい通話内容―ではないですね。
数字を羅列したと思うとすぐに切ってしまいました、、、。
「はい―。はい。わかりました。失礼します。」
「あ~あ、あの人、もう出てっちゃうみたい。」
「ホントねぇ。マイマイ、男っ気ないからいい機会だと思ったのにぃ。」
「ふふっ、刺激が強すぎたのね~。」
さっきの男にも動きがあるようです。誰かに呼び出されたんでしょうか。そのままお店から出て行ってしまいました。
マイちゃん、ドンマイっ!!
「―ただいま、、、。」
「もう、マイったら~。あの人、出て行っちゃったよ~。」
「そう。」
「あらぁ、リアクション薄いわねぇ。」
「あ、あのさ。」
「なに~??」
「そろそろバイト先に行かないとだから。」
「あらぁ、そうなのぉ?」
「うん、ごめんね?」
「―あ~あ、行っちゃったわ。怒ったかな~?」
「ちょっとやりすぎだったかもねぇ、、、。」
「あ~!!」
「なによぅ。」
「マイのやつ、食い逃げしやがった~!!」
ふふふ、これは傑作です。
どうやらマイという娘はとても狡猾なところがあるようですね。
え?そもそも私が誰なのか気になって話が入ってこないんですか??
―そんなことは些細な話です。気にするだけ無駄です。
強いて言うなら、「JD大好き一般通過女神」ってところかしら―?
はいはい、分かりました~。そろそろ次元を降ろして差し上げましょう。
私も久しぶりに誰かと話した気がします。相手になってくれてありがとう。
それでは、また会えることを祈っておいて下さいね、「JD大好き一般通過読者」さん―。
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