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少女
毎日ベッドの上から窓の外を眺めている。
屋上に行って景色を眺めたいけれど、病室からの眺めも悪くない。
「今日はお天気がいいね」
「そうね。今日は気持ちいい天気ね。陽子ちゃんは体調どうかな?かわりない?」
担当の看護師さんがあたしの脇に体温計を挟んでシュッポシュッポと血圧を測る。
いつもと同じ。朝。
あたしは、重症の病気みたい。
ごはんもすきなものも食べさせてもらえない。
もうここのごはんには あきちゃった────
天気がいいと、体調もいい気がするからすき。
だけど……あたしの名前って大きらい!
だって、病気なのに陽子だよ。名前負けしてるよね……
太陽みたいに元気だったらよかったのに。
「あっ!先生 おはよう!」
「おはよう。陽子ちゃん。朝ご飯はちゃんと食べたかな?」
「うん。たべたよ」
あたしの主治医の先生。
背がスラッとしていて長身。
顔のパーツもそれぞれ良くて総合的にみても
イケメンといわれるレベル。
かっこいいからすき。わがままを言ってもやさしいんだよ!
先生は、あたしの点滴の針が刺してある部分をじっとみてる。なんだろう。
「陽子ちゃん、あとで点滴の針刺し直そうかな。腫れてきちゃったみたい。ごめんね」
先生、すこし悲しそう。
いつも、点滴を朝と夜にするんだけど、
はれてきちゃったみたい。
また、違うところに針をさし直すんだって。
いつものことだから、なれてはいるけど、
これは痛いから いやだな。
前は足の甲に刺されてすごくいたかったの。
今回も足じゃなかったらいいな。
♢
午後の面会の時間になると少しソワソワする。
だって、おかあさんが来てくれるから。
「おかあさん!」
おかあさんに会える時間はとてもうれしい。
おかあさんを見つけるとすぐにかけよるんだ。
来てくれると体調がわるくても、笑っていられる。
おかあさんには泣いたすがただけは みせないようにしなくちゃ。
だっておかあさんが泣いちゃうでしょ?
前にいつも笑っているおかあさんが病室の
廊下で泣いているのをみてから、すごくおかあさんに迷惑をかけている気がしている。
健康じゃなくてごめんね。
おかあさん、あたし早く元気になるからね。
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