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気がつくと、あたしは はじめにいたまっ白な部屋の中にいた。
近くには『死神』さんがたっている。
「戻って来られましたね。心残りはありませんか?ちゃんと最後にお話は出来ましたか?」
「あ、あ……たし、うう、うえ〜ん
もっと、もっと…… 生きたかった
もっと、おとなになって色々な事を経験したかった……」
戻ってきたら、これが現実だと────
涙がとまらない。
「頑張りましたね。さあ、そろそろ行きましょうか?貴方のお祖母様がお迎えに来て下さってますよ」
「えっ? お、おばあちゃん?」
顔を上げると部屋の向こうに側に 優しく微笑んだ おばあちゃんがたっている。
「陽子ちゃんや〜?大きくなったね。ずっと見守ってたよ。頑張ったね。さぁ行こう」
あたしはおばあちゃんと一緒に手を繋ぐ。
「うん」
♢
子供の迎えは初めてだった。
毎回迎えの任務をこなしているが、私の心にも
グッと重いものがのしかかる。
毎回お迎えをしていると色々な死に方で、本人自体も息絶えてしまった事に気がつかない人もいるし、
事故、病気……突然起こってしまって息絶えた場合は、本人の最後の意志を『神』は許してくれている。残してしまった誰かに夢の中に会いに行くこと。それが最後の『神』のはからい。
自分自身で命を終わらせてしまった場合には、それなりの罰が課せられて1度地獄へ落とされる。
そういう場合は、悲惨で後悔の気持ちに囚われて苦しみ続けるようだ。
それよりも、もっと酷い罪を犯した場合は『死神』になるという。
『死神』の任務で感じた事は、人間はどんな命も儚くて虚しいと言う事だ。
それぞれの想いが詰まっていると言う事に
私は気がついた……
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