新しいパパ

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新しいパパ

蟻の巣から外へ出る。初めて触れる地面。とってもヒンヤリ。 鼻をくすぐる花の香り。あっ! 虫さん………。これが、自然。私の部屋とは大違い。風を感じる。 「はぁ~」 外の世界は、こんな私でも優しく受け入れてくれた。まだ鼻の奥に残るパパやその他大勢の血の臭い。私は深呼吸して、過去と一緒にそれらを全て吐き出した。 「はぁ~~~~」 あの女の人にも見せてあげたかった。この景色。……私が殺したから、もう叶わない。 「ごめんなさい」 道の真ん中に黒い車が停まっていて、白髪のお爺さんが私を手招きしていた。 「お嬢ちゃん。君が、あの有名な生物兵器かい? 世界を滅ぼす悪魔の子」 「アナタは、悪い人?」 「そうだよ。僕はね、あの施設から抜け出した君を戦争の道具として利用するために来たんだ」 今、やっと分かったよ。 「ようこそ地獄へ」 私が一番の悪者だったーーーー。 白髪のお爺さんは、私の新しいパパになった。お金持ちの新しいパパの屋敷で暮らす毎日。白い部屋に閉じ込めたりしない。学校にも通わせてくれた。 新しいパパは、人間が嫌いだから最初は地球上にいる人間を全滅させようと考えていたらしい。私が「それは、ダメだよ!」って怒ったら、しぶしぶ了解してくれた。 中学で、竹島君に会うことが出来たから、新しいパパには感謝しています。
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