3人が本棚に入れています
本棚に追加
母・さちえ
掃除機のスイッチを切ったのに、掃除機が止まらない?!
そう勘違いさせるほどの大きな音をたてて、急に雨が降り出した。
私は左の二の腕をさすりながら、やっぱり降ったわね、とつぶやく。過去にここを怪我してからというもの、雨が降る日は決まってここが痛くなる。
「思った通りだわ」
私は玄関で、半ば呆れながら両腕を腰に当てた格好で傘立てを見た。
そこには、夫用の大きめの真っ黒な傘が一本、そして娘の傘が三本、しっかり残されていた。因みに娘の傘が三本もあるのは、可愛いからという理由で衝動買いしているからだ。まったく、欲しがるだけ欲しがってろくに使おうともしない。
「しょうがないわね…」
時間になったらお迎えにいこう。本当にしょうがないんだから。
最初のコメントを投稿しよう!