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「なつきおねえちゃん!これあげる!」  精一杯伸ばす土や砂に汚れた小さな手にはそこら辺に咲いている花の束が握られた。 「ありがとう。冬真(とうま)」  制服に身を包んだ夏姉(なつねぇ)は嫌な顔せず、むしろ優しく嬉しそうな笑みを浮かべてその汚れた手から花束を受け取ってくれた。僕はそれが嬉しくて。そんな夏姉が大好きで―――。                 * * * * * 「―――! おい。冬真聞いてっか?」 「ん? ごめん。何?」  袖丈がちらほらと長くなり始めた頃。学校の昼休みを僕はいつも通り過ごしていた。 「だからお前は好きな奴とかいないのかって」  大樹(だいき)が食べかけのパンで僕を指す。 「好きな人かぁー」  僕は唸るような声を出しながら一応、考えてみた。 「冬真ってそういうの興味なさそうだもんな」  (たける)の声を聞きながら更に考える(この時はさすがに黙ってたけど)。 「バカだな。こういう奴に限って急に、付き合いました! とか言ってくるんだぞ。気を付けろよ」 「何をだよ」  2人の会話を聞きながら考えるもやっぱりこの学校の人で思い浮かぶ人は居なかった。 「別に今はいないかな」 「ほんとか?」 「本当だよ」  大樹はまるで取り調べをする刑事のような目つきで僕を見る。そしてパンをひと(かじ)り。 「よーし。今回のところは信じてやる」 「何で上から何だよ。お前は」  それからも相変わらず楽しい昼休みを過ごし、午後の授業も何とか乗り切った。

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