3
「それで何で急に?」
―――夏姉はどうやらちょっとした連休が出来たから折角ということで帰って来たらしい。
そんな夏姉の家(今は実家)は僕の家の丁度向かい側にある。昔から家族ぐるみで交流があり親しかったかたら夏姉はこの成瀬家を第二の我が家と呼んでいた。だからその第二の実家へ今回の帰省でもちゃんと帰って来たということだ(律義にお土産を持って)。
まぁ理由はどうであれ夏姉が帰って来たのは心の底から嬉しい。しかも少しの間はここ(実家)に居るらしいし。
「でも懐かしいわね。この子ったら夏希ちゃんにべったりだったから。本当はちょっとぐらいめんどくさかったんじゃない? 夏希ちゃんも青春真っただ中の高校生だったわけだし」
母さんの余計な言葉に夏姉の顔が僕を見る。
「まぁ、実を言うとちょっと...」
「えっ?」
夏姉の反応に対して反射的にそして無意識に口から声が飛び出た。もしそれが本音なら僕はしばらくの間、立ち直れないかもしれない。
「って冗談よ。あの頃の冬真はすっごく可愛かったんだから。なつきおねーちゃん。ってね」
声色を変え昔の僕の真似をしてるのだろう。すごく恥ずかしい。
「私の友達にも人気だったんだから。夏希の弟って呼ばれてて」
確か僕を見たその友達に夏姉は実質弟って言ってたっけ。はぁー。思い出したらため息が零れた(もちろん心の中だけだけど)。
「まぁでも今でもあの頃の面影あってまだ可愛いけどね」
夏姉は僕の方へ手を伸ばすと頭を撫でた。そのあの頃と同じ優しくて大好きな感覚は懐かしかったけど今やられるとちょっと恥ずかしさが勝り顔を逸らしてしまう。だけどどうしても拒めない自分が居た。
「もう子どもじゃないって......」
それが見栄かカッコつけかは分からないけど小さな抵抗でもするかのように呟いた。
「あらら。今でも本当の姉弟みたいね」
母さんは嬉しそうにそう言う。弟、姉、姉弟。その言葉は昔の僕にとっては夏姉と近い感じがして嬉しかったけど、今となってはあまり喜べない言葉に変わってしまった。それらの言葉で近づけば近づく程にどんどん遠くなっていく気がして――嫌なんだ。
最初のコメントを投稿しよう!