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3.
◇Regrets 後悔
「育くん、景子のしたことは謝ります。ほんとにごめんなさい」
母親が夫に謝罪した。
そして……
「わたしからもお詫びする、ほんとにすまない。
お金で済むことではないが500万円慰謝料として用意させてもらうよ。
これでなんとかこの先も、景子を君の側に置いてもらえないだろうか?
この通り頼むよ」
父が彼に懇願した。
「お義父さんもお義母さんも顔を上げてください。
おふたりは何も悪くないのですから」
「育、私……育の言う通りにする。
できれば離婚はしたくないけど。
結婚前に貯蓄してあった預貯金を全部育に渡すわ。
これで許されるとは思わないけどお金でしかお詫びできないから」
両親は何も悪くないと言ってくれる夫に、私はできうる限りのお詫びを
申し出た。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
呪文のように『ごめんなさい』としか言えない私に夫の育は
上司から2度目に会うことを強要され脅された時にどうして自分に
相談してくれなかったのかと怒った。
弁護士さんも2度目以降3回も会っているのでは、強姦罪に訴えても
流石に難しいだろうとおっしゃった。
ほんとに言われる通りで、なんで私は馬鹿なことをしてしまったの
だろうと、酷く落ち込んだ。
このあと、夫は弁護士を通して上司の石野をコテンパンに
やっつけたらしい。
らしいというのは、夫から直接聞いたわけではなく、弁護士と両親が
話していたのをたまたま耳ダンボで聞いたから。
有難いことに? 夫のお蔭で私は石野と相まみえることなく
そして彼からの脅迫を二度と受けることもなく、憂いなく夫への贖罪の
日々を過ごせることになった。
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