Goodbye Happiness -24-

6.　
" Fair フェアー "

　俺はアンフェアーなことは嫌いだ。
　だからはっきりと妻の景子に宣言した。

　俺は石野の妻だった人、さとみさんと付き合うことにした、と。

　 景子への意趣返しなのか? はたまた・・単純に興味が沸いて
しまったのか?　男だから欲がないとは言わない。

　欲から、これ幸いと錦の御旗を振りかざし、
景子とは別の女性に触手をのばそうとしているのか?

　だが、欲と考えてる時点で俺の中で答えは出ていたのかも
しれない。

　誰がもっとも大切な女性(ひと)なのかは。

　さとみさんとは、お互いに割り切った関係でよい、ということを
了承しての付き合いが始まった。

　　　　　　　　　　◇　◇　◇　◇　◇　

　離婚して半年が過ぎた頃、部屋に行くとテーブルの上に
育からのメモが置かれていた。

　『明日は泊まる準備をしておいで』と。

　3ヶ月前から育が石野さとみと親しくしている話は聞かされていた。

　育は以前よりそのようなことが有り得ることを私に宣言していたし
・・宣言通りのことが起きてるっていうだけのこと。

　今私が味わってる気持ちを思うと、育は私が感じる何倍もの
嫌な気持ちを味わったわけで、私に文句を言う権利もないし、私は
まるっとそれを飲み込んだ。

　この日を境に、育はさとみさんとの付き合いも止めることなく、
私のことも抱き続けてる。

　しようがないって、一度飲み込んだ気持ちにずっと私は蓋をし続けた。