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人生で記入するのに一番緊張する物だと思う。
婚姻届。
優輝がなかなか書き終わらない。
一文字一文字、慎重に書いている。慎重なのは良いんだけど、もう書き始めてから30分以上は経っているんじゃないだろうか?
お習字の硬筆ぐらい丁寧に丁寧に書き終えた彼は、やっと私に記入済みの婚姻届を手渡した。
自分の部分を書き始める。
何だかすごく、感慨深い。書きながら今までの事を思い返してしまう。
高校で出会って、色んな初めてを優輝と一緒に経験した。生まれてから今日までの間に出会った中で、唯一大好きと愛してるを沢山言いたくなった人。
一番最後の欄に自分の名前を記入する。
新城の姓を書くのは、これで最後か…。
一画一画、感謝を込めて名字を書く。
私が書く箇所の記入が終わった。何だかんだ、私も結構な時間がかかったようだ。
「書けたよ」
自然と笑みが零れる。それは彼も同じであるようだ。
保証人の欄は事前に書いてもらっていた。
優輝は職場の上司に、私は志賀さんにお願いしていた。
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