0人が本棚に入れています
本棚に追加
さっきまでうかうかしていた琥珀が、少し寂しそうに返事をした。瑠璃子はそれに気づくことなく、晩御飯を作っていた。
「出来ましたわよ!」
瑠璃子は肉じゃがとご飯と漬物二人分乗ったお盆を持って来た。
「わあ!! 美味しそう!! お嬢様……知らない間にこんなに上手に……」
「もうそれは良いですわ!! せめて食べてから褒めて!!」
瑠璃子は若干顔を真っ赤にして言う。琥珀は「ははは、そうですね」と言い、「いただきます」と手を合わせた。
「私も食べますわ。いただきます!!」
元気にそう言い、食べ始める。
「素晴らしいですね……!! こんなに美味しい料理、ご両親にも、召し上がっていただきたかった……」
「そうですわね……結構、上出来ですもの。」
「それにしても、」
琥珀は瑠璃子をまじまじと見つめる。
「? なんですの?」
「先程のいただきますと言い、相変わらず挨拶が良いですね。」
「え? それが…………なんですの?」
瑠璃子は首を傾げる。琥珀は視線を落とした。
「僕、お嬢様のご両親が病気になられて、寝込んでいるとき……よくお話を聞いていました。」
最初のコメントを投稿しよう!