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本編
「ただいま〜……ですわ」
疲れを乗せて口からそう出す。ため息をつきながら家に入る。瑠璃子は靴を脱ぎ、綺麗に並べてからリビングへと入っていった。
今日も仕事は残業だった。それでも自分自身では、しっかりと頑張れたと思っていた。これが働きがいと言うものなのだろう。
バッグからスマホを取り出す。瑠璃子は日付を見ると、ふと、思い出す。
「あぁ……そういえば、私が実家を出てから、明日で一年ですわね。琥珀……元気かしら。」
瑠璃子はお金持ちの家庭で生まれたお嬢様だった。
「お嬢様!! 召し上がれたケーキのお皿に、大きめのクリームが乗っかってますが!! 召し上がられないのですか!?!」
「いや良いですわよそれぐらい!! 結構ですわ!!!」
「お嬢様ァ!! 先程お洗濯した下着が破れていました!!!」
「ちょっと!!! 何勝手に下着見てるんですの?!!?」
瑠璃子にはいつも、お節介な執事がいた。琥珀という男性だ。2人の付き合いは長かった。瑠璃子が生まれた時から、琥珀は面倒を見ていた。だからら2人ともお互いのことをよく知っていたし、仲が良かった。
そんなある日。今であたる、一年マイナス一日前。
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