君のとなりに居させて

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「柚夏怒ってる?」 慧都が下校中の私を追いかけて来た。 怒っている訳ではない。…いや怒っているのだろうか。 幼なじみの慧都の隣にはいつも私が居て…それが当たり前だった。 それなのに慧都は昨日知らない女の人と街を歩いていた。 「ごめん柚夏、来週の木曜日は大事な用事があって一緒に帰れない」 先週慧都からそう言われていた。 慧都のバイトの入り時間がすごく早くてスーパーダッシュで帰る時以外、私たちはほとんど毎日一緒に帰っていた。 家が隣で、朝登校する時も一緒で私たちは常に一緒だったから、何だか昨日は慧都がすごく遠い存在に思えた。 「慧都、好きな人居たんだね」 私は後ろを付いて来る慧都にそう言った。 「えっ、柚夏気付いてたの?」 「気付くって言うか…昨日見たし」 なんだ見られてたか〜と言って慧都は照れ笑いをしていて、私は泣きそうになるのを必死で堪えた。 「そんなに、好きなんだね…。その子の事。」 「うん。ずっと好きだったからね」 私の頬に何かが当たって振り向くと慧都がすごく可愛くラッピングされた袋を持っていた。 「誕生日おめでとう柚夏」 「えっ…。」 予想外の言葉に私は驚いて慧都とラッピングされた袋を交互に見ていた。 「柚夏が雑誌見て欲しいって言ってたやつと、あと…開けてみて」 慧都に渡された袋を開けると私が欲しがっていたヘアクリップと、キレイな箱が入っていた。 「わぁ…!綺麗」 箱の中にはハートに宝石の付いたピンクゴールドのネックレスが入っていた。 「実はバイト先の先輩に一緒に選んでもらったんだ。その人の彼氏もちょうど今週誕生日でさ。俺、バイト先でもいつも柚夏の話してたから。」 「そう…だったんだ…。」 良かった。あれはデートじゃなかったんだ。私の誕生日プレゼントのために慧都は…。 あれ?じゃあ慧都の好きな人って…。 「ねぇ、慧都の好きな人って…?」 「やっと気付いた?」 慧都、最高の誕生日プレゼントありがとう。
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