しにがみさんとりくくん

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だいくんありがとう。 小さなお手手をそっと伸ばした。 「お、笑ってくれた」 だいくんの目から涙が溢れた。 「年長になってからりくはひまわり幼稚園に入ってきたんだ。冬に妹が産まれるんだ、そりゃあ嬉しそうだった。でも、夏休みが空けてからどんどん元気がなくなっていって、体のあちこちにアザを作ってくるようになった。もともと痩せていたのにさらにガリガリになっていって、笑わなくなって、しまいには幼稚園にあまり来なくなった。俺はりくの笑顔が見たくて幼稚園に来たときはわざと意地悪ばかりしていた。だから、りくにはいじめっこだと思われ嫌われていたと思う。年の離れた兄さんたちは真っ先に虐待を疑った。でも何も出来なかった。りくを救えなかった」 泣き崩れただいくんに、子どもたちが駆け寄った。 「パパは勇気のある正義のヒーローだって、おじさんたち言ってたよ」 「パパがお巡りさんを連れてこなければ、友だちは一生見付からなかったって。パパは今も昔も私たちのヒーローだよ」 「円加、南朋。ありがとう。パパ嬉しいよ」 手の甲でごしごしと涙を拭った。 【璃空(りく)】と書かれた命名書の下に、小さな位牌が安置されてある。死神さんに言われてはじめて気付いた。 りくの両親は遺骨を引き取るのを拒否した。だいくんが両親にそれではあまりにもりくがかわいそうだと必死に訴え、遺骨の一部を引き取り供養してくれたから、お前は悪霊にも地縛霊にもならずに済んだんだ。無事に天国に行けたんだって。 顔はとっても怖いけど優しい死神さんと、だいくんのお陰でようやく永い眠りにつける。 もうじきりくとしての記憶はなくなるけど、だいくん僕を見付けてくれてありがとう。死神さん、迎えに来てくれてありがとう。
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