002 気づいたら森にいたんだがステータスを把握してみる

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002 気づいたら森にいたんだがステータスを把握してみる

「……ッ、ふぁ…」 ガサガサと言う音を聞いて起きた。腕を上に伸ばす、枝の上で寝たからか体がバキバキだった。 そこで音源に目をむけて固まった。 「う、兎なの、か?」 キュー 兎って角生えてたっけ そんな疑問が頭の中をぐるぐると回る。きっと今の俺の頭の上にははてながたくさん並んでいることだろう。見てる人はいないけど。 仮定兎は茶色の毛を纏い、長い耳の生えた五十から六十センチぐらいある。ここまでは兎だ、額から真っ黒い角が生えていなければ。 「……」 声を抑えて観察しているとまんま兎だ。角生えてるけど。そして、仮定兎――角兎は奥の藪に突っ込んで消えてしまった。 ちょっと、ライトノベルをよく読んでいるからその方向に考えてしまうのだが、これって本当に 「異世界来ちゃった?」 確かに昨日その可能性を考えなかったわけではない。むしろ常に頭に付き纏っていた。だが、まさか本当にこんなことになっているとは思ってもみなかった。だが、紫色の梨を見て気づいていたはず。わかっていたさ、気づかなかったふりをしていたなんて。勿論、ラノベ好きなら喜ぶ場面だろう。俺もちょっとワクワクしているところもある。 だがな、死なないなんて保証はないんだ。 小説のように神様の説明もない。国の召喚で勇者様ってなるわけでもない。右も左もわからないままでなにか強い力を持っているのか、挫けない心になったとかそんなものはないんだ。もしも、力を持っていたとしよう。教えられてもいないから、気づかないままなんてこともあるだろう。自分の危機に覚醒?そんな都合のいいことなんてないだろう。世の中はそんな簡単なことではないんだ。 しかも、初期位置が森。圧倒的森。いやもうハードモードだよ。小動物も角持ってて強そうだし、戦ったことも何もない覚悟もない凡人に何ができるというんだ。 「はぁ、こうなったら幻でもなんでもいい。ステータスとか出ないかな…」 『ピコン』 「…………は?」 …なんか出た。 え、マジ?マジでそんな小説的展開が現実で起こるの?いや異世界に来た時点で現実とは言い難いんだが。 ステータス、という言葉で目の前に出てきた半透明の板。 ――― 'Status(ステータス)' Name ―――― Gender(性別) Man(男性) Age(年齢) 17 Active(アクティブ) skill 【ステータス】【】 Passive(パッシブ) skill 【言語理解】【】 Unique(ユニーク) skill 【黒】【】 Title(称号) 『異世界人』『変質した者』『人ならざる者』『全ての終わりと始まり』 ――― 昨日今日で驚きっぱなしだと思う。 …名前がない。 今までどう生きてきたのか覚えているのに名前のところだけ真っ白になっていて覚えてない。普通ならここでパニックになると思うんだけど 「別にいいや」 異世界来てる時点で普通じゃないし、既に脳の処理も追いついてないからそんなことにはならない。別に今まで付き合ってきたものだけど思い入れなんてないし。名前がないって言っても新しく着ければいいだけだから。 そして次に目を引くのは年齢。十七歳となっているが俺の年齢は二十七歳だったはず。異世界に来るにあたって十歳巻き戻しをされたのだろうか。これもどうでもいい、若くなるのは嬉しいし。 で、スキルというものだ。これはそれぞれアクティブ、パッシブ、ユニークと一つずつある。 先ずは【ステータス】だ。って、ん? 【ステータス】 異世界人に与えられる。これで自分の能力がわかる。他人は見れず、自分だけが見える。他人には使えない。これで自分の能力の把握をすべし。 …… 力を持っているかわからないってさっきまで嘆いていたのが馬鹿みたいだ。恥ずかしい。それでその下にあるのは 【言語理解】 異世界人に与えられる。これでこの世界の言語がわかる。使えるようになるかはその人次第。 これは、言語はわかるけど、話したり、書いたりは出来ないってことだな。だから出来るようになりたいのなら自分から練習しろということか。 最後のこれだこれだけは名前だけではわからない。 【黒】 全ての終わりと始まり。貴方は何だってできる。全ては黒だから。 ……説明文読んでも、意味が分からなかった。まず全ての終わりと始まりってなんだ、なんでそんな壮大なんだ。あれか、ユニークスキルだからか。そうに違いない。使用方法はわからないが一先ずスルーしておく。これは触れてはいけないものだと思う。 それじゃあ、称号だ。これも意味不明なものが混ざっているが、一つ一つ見ていこう。 『異世界人』 文字通り異世界人。異世界から何らかの事情でやって来たもの。それは幸か不幸かは定かではない。 『変質した者』 その身が変質した者。その世界に適応した証。色々と変わっているだろう。 『人ならざる者』 人外。貴方は既に人ではなくなった。それは可能性。 『全ての終わりと始まり』 貴方は全ての終末であり、母である。世界は貴方の好きにすればいい。 これは……一言言っておこう。俺は誰かの母になったつもりはない。しかも世界なんて以ての外だ。 『異世界人』と『変質した者』はわかった。だがな、後者二つ、お前は許さん。 人外ってなんだ、人外って!異世界に来たら人外になっちゃいました☆じゃ、ねーよっ!!!知らないうちに人外になったんだけど、なんでだよ! ……で、肝心なのは『全ての終わりと始まり』だよなぁ。これは多分ユニークスキル【黒】にも関係があるだろ。説明文にも書かれているし。黒って、色だよな。なんでそこまで大きくなってんの?それとも俺が知らないだけで他にも意味があったの? 『人ならざる者』って称号を手に入れちゃったのもこれに関わってそうだし、というか絶対関係あるだろコンチクショウ! 駄目だ、スルー出来ない。ここまですごそうだったら今のうちに把握しておいた方がいいかも。何かやらかす前に。何だってできるって書いてあるのが怖いけど。ねえ、過ぎたるは猶及ばざるが如しってことわざ知ってる?やりすぎなんだよお前。 逆にそんな力だったとしても調子に乗りそうで怖いわ。なんでそんなぽいぽい与えちゃってくれてんの?それとも何?こんなすごそうな力がなきゃ異世界は生きていけないってことか? あ、そういえば名前決まってない。いや、現実逃避ってのはわかってるんだがやらせてくれ。 ……【黒】 そうだ、これでいっか。俺の名は 「ノアール」 フランス語で黒って意味だ。俺はこの世界で生きていく。新しい名を名乗るのはその決意だ。今後どうなるのかはわからない。だけど俺は年甲斐もなくワクワクしてる。いや、今は十七歳だからおかしくはないのか。 ――― 'Status' Name ノアール Gender(性別) Man(男性) Age(年齢) 17 Active(アクティブ) skill 【ステータス】【】 Passive(パッシブ) skill 【言語理解】【】 Unique(ユニーク) skill 【黒】【】 Title(称号) 『異世界人』『変質した者』『人ならざる者』『全ての終わりと始まり』 ―――
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