エピローグ

6/8
前へ
/109ページ
次へ
「…なーんだ…まるさんは、俺が元の世界に帰ってしまうかも、って心配してたんだ… っていうか… そんな訳ないだろ!? 何度も言うけどっ!耳タコになるくらい言うけどっ!! 俺が何もかも捨ててもいいくらい、それ以上にまるさんのことを思ってるの、まだわかんないの!? しーんじられなぁーーーいっ!!!」 最後はわざと大声で言ってやった。 まるさんは見るからに、しょんもりと下を向いている。 その様子を見ていたら、何だかどうでも良くなって笑いが込み上げてきた。 ぷぷっ…ふっ、ふふっ…ははっ、あははっ 釣られて勿忘達も肩を震わせ笑い始めた。 「…ぷっ…まる様…まるで駄々を捏ねる幼子のようですよ…くくっ…」 「…お前達にまで言われたくはない。」 「…でも、でも、まる様……っぷっ」 俺達3人に囲まれくっ付かれて、いつの間にか団子のようにひとつに丸まって、まるさんまで声を上げて笑っている。 一頻り大笑いした後、まるさんが明るい顔で言った。 「さあ、初江の顔を見に行こう! 美味いお供物の礼も言わねばならんしな。」 正装した俺達はしっかりと手を繋ぎ、結界を抜ける。 途中から、ふよん、と纏わりつく空気が変わって変な感じがする。 気が付くと祠の前に立っていて、懐かしい風景が目の前にあった。 ばあちゃんが供えてくれたんだろう、お盆に紅茶とクッキーが乗せてあった。 「…ばあちゃん家だ…あ!縁側にいる!」 ばあちゃんは、いそいそとお盆にカップとクッキーを乗せて、縁側の小さな椅子に腰掛けた。 そしてカップを目の高さまで上げると、茶目っ気たっぷりに言った。 「まるさん、かんぱーい!」 俺は思わず叫んでいた。 「ばあちゃーんっ!クッキーありがとうっ!」 ばあちゃんがキョロキョロしている。 まさか聞こえたんだろうか? 慌ててまるさんを見上げると、うんうんと頷いている。
/109ページ

最初のコメントを投稿しよう!

118人が本棚に入れています
本棚に追加