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身体をするりとずらして、まるさんの胸に頬をくっ付けた。
そして、よいしょ、とまるさんの両手を自分の腰の辺りに巻き付かせた。
うん、抱っこされている、いつもの安定した位置。
「…ねぇ、まるさん。
笑っちゃってごめんなさい。
あのさぁ、俺がまるさん以外の誰かに心惹かれると思う?
俺の全ては誰のものだと思ってるの?
まるさんだよ。まるさんしかいない。
そんなこと、わかってるだろ?」
「…でも、アイツらは…」
「まるさんには当たり前だろうけど、俺にとっても彼らは大切な存在だよ。
だって、家族みたいなもんじゃないか。
でもね…“俺の伴侶”ではないよ。
“伴侶”はまるさんだけに決まってるじゃないか。
うーん…まるさんのこと『愛してる』って、どう伝えればわかってくれるのかなぁ。」
まるさんが俺のことをチラチラと見始めた。
よしっ!あとひと押しだっ!
「まるさん、大好き。」ちゅっ
「まるさん、愛してます。」ちゅっ
身体を伸ばして耳元で囁きながら。おでこに。瞼に。鼻に。頬に。啄むような口付けを繰り返す。
そのうちに、どちらからともなくくすくすと笑い出して、唇が何度となく触れ合い始めた。
次第に唇が重なり合う時間が長くなっていき、まるさんの舌が俺の口内を舐め回す頃には、一体いつ脱がされたのか脱いだのか、お互いに全裸になっていた。
素肌が触れ合って蕩けそうになる。
安心するし気持ちよくて堪らない。
「ふふっ、こうしないとわかってくれないのかな?
身体を繋がなくても繋いでも、俺はまるさんだけなのに。」
「…わかっている。わかっているが…
すまぬ。つまらぬ悋気を起こした。
お前は誰にでも優しくて思いやりがあって、慈悲深い。
俺に対する思いとは全く違っているとわかっているのだが…また誰かに邪な思いを寄せられたら、と思うと…」
まるさんが甘えるようにすりすりと頬を寄せてくる。
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