時を紡ぐ

4/6
113人が本棚に入れています
本棚に追加
/109ページ
身体をするりとずらして、まるさんの胸に頬をくっ付けた。 そして、よいしょ、とまるさんの両手を自分の腰の辺りに巻き付かせた。 うん、抱っこされている、いつもの安定した位置。 「…ねぇ、まるさん。 笑っちゃってごめんなさい。 あのさぁ、俺がまるさん以外の誰かに心惹かれると思う? 俺の全ては誰のものだと思ってるの? まるさんだよ。まるさんしかいない。 そんなこと、わかってるだろ?」 「…でも、アイツらは…」 「まるさんには当たり前だろうけど、俺にとっても彼らは大切な存在だよ。 だって、家族みたいなもんじゃないか。 でもね…“俺の伴侶”ではないよ。 “伴侶”はまるさんだけに決まってるじゃないか。 うーん…まるさんのこと『愛してる』って、どう伝えればわかってくれるのかなぁ。」 まるさんが俺のことをチラチラと見始めた。 よしっ!あとひと押しだっ! 「まるさん、大好き。」ちゅっ 「まるさん、愛してます。」ちゅっ 身体を伸ばして耳元で囁きながら。おでこに。瞼に。鼻に。頬に。啄むような口付けを繰り返す。 そのうちに、どちらからともなくくすくすと笑い出して、唇が何度となく触れ合い始めた。 次第に唇が重なり合う時間が長くなっていき、まるさんの舌が俺の口内を舐め回す頃には、一体いつ脱がされたのか脱いだのか、お互いに全裸になっていた。 素肌が触れ合って蕩けそうになる。 安心するし気持ちよくて堪らない。 「ふふっ、こうしないとわかってくれないのかな? 身体を繋がなくても繋いでも、俺はまるさんだけなのに。」 「…わかっている。わかっているが… すまぬ。つまらぬ悋気を起こした。 お前は誰にでも優しくて思いやりがあって、慈悲深い。 俺に対する思いとは全く違っているとわかっているのだが…また誰かに邪な思いを寄せられたら、と思うと…」 まるさんが甘えるようにすりすりと頬を寄せてくる。
/109ページ

最初のコメントを投稿しよう!