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毒はあるかな。でも僕はたいていの毒は大丈夫なはず。
ええと。
持ち上げてみると、一抱えくらいあって結構重い。30キロくらいは軽くあるかもしれない。赤い鱗に覆われていて硬そう。どうなってるんだろうと思って首の断面を見ると平たかった。鋭利な刃物かなにかで切断されたみたいに平たい。切断面がダレたり盛り上がったりしていないっていうことは多分新鮮なお肉。ごくりと再び喉がなる。
食べたことがない食べ物と認識すれば、モンスターの危険性なんかまたまた僕の頭から吹っ飛んで、思わず齧ると悲鳴が響き渡った。
「ぎゃぁぁぁっぁあああぅおおぉぉぉおぉお!!‼」
「わぁぁぁぁぁあああぁあああああぁっっぁ⁉⁉」
「何がっ⁉ 一体何がァ⁉⁉」
思わず膝に抱えた頭から手を離すと頭は少し先までごろごろと転がった。その勢いで鳥がバサバサ飛ぶ音がした。
キョロキョロ見渡したけれど、やはり叫びそうなものは一つしか無い。つまり。
ええぇ? 生きてる? 首だけで?
頭は3メートルほど先で何だ何だと喚いている。一体何がどうなってるの。でも喋ってるってことはトカゲ獣人か何かかな。もしかして首だけの種族? トカゲ首人? 首だけの種族もいると物語で聞いたことはあるんだけど遠い国のはず。
でも流石にまずいよね、生きてる人を食べようとするのは。謝らないと。
「あ、あの、ごめんなさい。まさか生きてると思わなくて」
「生きてると思わなくても落ちてる首拾って齧るやつがあるか!!‼」
「は、え、あ! 誰かのですか?」
「正真正銘わしの頭じゃ‼ いやそうじゃなくて‼」
話しかけると頭は器用にごりりと転がって首の断面を地面につけてこちらに向き合った。なんかトカゲ獣人が地面に埋まってるみたいだ。あれ? 喋ってるってことはモンスターじゃなくて獣人ってことでいいんだよね。
ちょっとホッとした。モンスターは人の言葉を喋らないんだ。
「あの、というか、生きてるんですか?」
「喋っとるだろうが‼ いや、ああ、ゾンビとかそういう意味合いか? わしは生きておる。アンデッドではない」
「あ、僕、腐っててもあんまり気にしな、いや」
ものすごく嫌そうなジト目で睨まれてしまった。
でも話は通じそうな気はする。トカゲの頭と?
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