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この二日間はおかんの手料理でお腹を満たし、現状が変わる訳ではないけど精神的にはちょっとだけ落ち着いてきた。そして予定通り職場へ向かい、人事課に診断書を提出して休職届を申し出る。繰り返しになるけど【性転換症候群】そのものは生死に関わる病気やない。ただ自殺率が半端なく高いので、発症が分かったら集中的なメンタルケアが必須なんやって。
休職届自体は簡単に受理されて半年間取得したけど、仮に期間が明けたところで無事に復帰出来るんかな? 今の部署のまま残れるとも限らんし、カラダの“性”が変わることで異動とか退職もあるかも知れん……漠然とした不安を抱えた状態で休職期間に入り、おかんと一緒に関西にある実家に戻ることにした。
理由の一つとして、今お世話になってる精神科の先生が実家の隣県の方で、こっちには【性転換症候群】専門チームの医師として定期的に出張なさっているらしい。所変われば内科と婦人科の先生は代わるけど、紹介状も頂いてるしカルテ情報も共有するって仰ってたんで、病院関係は実家に戻っても取り敢えずは安心かな、と。
『只でさえ難病や、一人にはしとかれへん』
おかんにそう言われたんもあるし、俺としてもまだ現実を受け止めきれてないから誰かがおるって生活環境にするだけでも気分はだいぶ違うと思う。んで実家から一番近くて、【性転換症候群】を専門で診てくれるっていう大学病院に通うようになった。
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