えっ? 何で俺が?

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 おかんは俺の気持ちを鼓舞させるかのように背中をバンッ! と叩いた。それで結局母子連れ立って散歩には行き、ちょっとだけリフレッシュして帰ったらたくが実家に戻ってきてた。 「お帰りみな兄、何かほっそりしてきてるやん」  たくは入院の際見舞ってくれてるからあらかたの事情は知ってる。おかん同様接し方を全く変えない弟に対し、おとんと兄貴はちょっとよそよそしくなってるから、何というか屈託のない表情への安心感が半端ない。 「ん、今持ってる服ほとんどぶかぶかや」 「ほなえぇ機会やから新調したら?」  そうは言うけど弟よ、俺はどっちの服を着たらえぇんや? 正直に言ってしまうと、メンズファッションをし続けたくてもSサイズですら大きいかも知れんねんで。 「いっそ今からレディースファッションに慣れといたら?」 「はぁ⁉」  たくのひと言に俺は仰天……というよりも男としてのプライドが疼いて拒否反応を示していた。 「男と女は全然体型が違うんやで、見た感じみな兄はレディースの方が合うようになると思うよ」  実際俺の身長は百六十七センチで背の高い女性くらいだ。顔も中性的ってやつで、子供の頃はよう女の子に間違われてガキ大将タイプの男共にしょっちゅうからかわれてた。  それが嫌で少しでも強くなろうと近所の空手教室に通い、中学生の時県大会で優勝するレベルにまで鍛えたんが今となっては懐かしい。直後に怪我したんと高校入試で忙しなって今は辞めてるけど、その経験のお陰でたま〜に来る変なのんに絡まれても返り討ちにはできてる。 「どうせ俺はチビですよ」
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