えっ? 何で俺が?

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『改めてお母様に教えて頂くのも良いかと思います』  俺の知らん間に体は音も立てず着々と作り変えられとって、一人でおる時間が怖くて仕方がない。おかんは今たくんとこにおるから顔は出してくれるけど、只でさえおかしな事態になっとるのに余計な心配さしたらいかんとか思って泣き言も言われへん。それが息苦しくなって、消灯時間が過ぎたらベッドに潜って一人泣きするって状態が検査入院中ずっと続いとった。  退院予定を翌日に控えた朝、精神科の先生がトレイに乗せたマグカップを持って病室に入ってこられた。何か甘い匂いがする……ホットミルクかな? 「おはようございます小柳さん、ホットミルクは好き?」  先生に尋ねられた俺ははいと頷く。おかんは俺とたくが生まれた時、母乳がほとんど出んかって粉ミルクで育ったようなもんやったらしい。そのせいかどうかは知らんけど、甘いもんは好きちゃうかった割にホットミルクは好きやねん。 「これ時々飲むのよ。私の味付けやけど、よかったら飲んだって」 「ありがとうございます、頂きます」  俺は温かいマグカップを受け取って初めて指先が冷え切ってることに気付く。起き抜けに体温測った時は平熱やったけど、口に入れた瞬間、アップルパイにちょっと似たその甘い香りに、気張ってた何かがほぐれていくような感覚があった。 「美味しいです」 「よかった。シナモン苦手やないんやね」 「はい、平気です」
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