1. 大当たりか大外れか

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 慣れた動作で舐め始めることしばらく、なんだか自分まで興奮してきた。最近こいつを観察したり、思いのほか家が楽で外に出ておらず溜まっているせいだ。  元々そのつもりだったとはいえ、ただセックスしたいという衝動がやってくる。 「ん……」  思わず声が漏れた。  さっきから好き勝手にやっていたが、あ、今のはまずい、と直感した時には遅く、ばさあっと勢いよく布団が宙を舞った。 「……お前、何してんの」  いつの間にか目が慣れていたらしく、体を起こした奏斗とはっきり目が合う。  ……チッ、もう少しだったのに。  この惨状に理解が追いついた後、奏斗は冷静だった。さっと下着とズボンを上げ、リモコンで電気をつける。 「で、どういうこと?」 「……起きるの早すぎだろ」  答えもせず、雪哉は拗ねるようにつぶやいた。  挿入までしたあと、さすがに起きた奏斗に気持ちいいと思わせるのが目的だったのに。既成事実ってやつ? ちょっと違うか。 「おい、ちゃんと答えろ」 「いやだ」 「雪哉」  叱るように言う奏斗。  ……あれ、今初めて名前呼ばれたかも。 「だってお前、俺のこと全然触ってこないだろ」 「なんで触るんだよ」 「いや、それはそうだろ。俺は飼われてんだぞ。体が商売道具だ」 「商売道具って……じゃあその体力、家事とかに回せよ」 「家事は俺じゃなくてもできる、そもそもやりたくない」 「わがままだな……」 「……ふん」  わがままで結構。  作戦がうまく行かなかった上に、そもそもこいつには雪哉をどうこうする考えがなかったらしい、腹が立つ。なんで俺がこんな思いをしなくちゃいけないんだ。 「とにかく、お前が今までそうしてきたのはわかったけど、俺にはしなくていいから。怒ってもないから、早く寝ろよ」  そういうと、また電気を消して寝る体勢に戻ってしまった。  怒ったかなんて気にしてねーし、しなくていいなんて聞いてねーし、と言いたいことがたくさん出でくる。でも完全に布団をかぶってシャットアウトされては、それも言えなかった。  本当に興味ないんだな。  いらないならいらないでいいのかもしれない。でも、その代わりすぐ捨てたりしないって約束しろよ。……できないんだろ。  ……とりあえず、すっかりその気になった俺のこと、なんとかしろよ。
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