1. 大当たりか大外れか

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 外でぶらついているうちに、すっかり日は落ちてしまった。  白鳥のことは上手く撒けたらしいからいいとして、今夜の寝床がない。頬もまだ痛いし。  この俺が野宿? 嘘だろ。しかも今は十二月。凍え死ぬ。白鳥に与えられたコートだが、羽織ってきて正解だった。  適当に近くの公園に入って、ベンチに腰を下ろす。  男を捕まえるより、女を捕まえる方が早いか……。  と今夜の行く末を真面目に考え始めたところで、いつの間にか近くにいたらしい、四十代くらいの男が話しかけてきた。 「誰か待ってる?」  ……なるほど。  すぐその目を見てわかった。さっきまでは気づかなかったけど、ここはそういう場だってか。  金持ちではなさそうだ。それに、いけおじならいいけど、きもおじだ。でもまあ、一晩くらいならいいかもしれない。宿無しよりはマシだろうし手間が省ける。 「野外プレイは嫌なんだけど。あと金もねえよ、俺」 「もちろん、私がホテル代を出そう」  それさえクリアすれば誘いを受けてくれると理解したのか、興奮した様子で図々しく雪哉の腕を掴む。  ……やっぱり、なんか嫌だな。  渋々ベンチから立ち上がったが、はたと立ち止まる。汗ばんだ手で雪哉の手首を引く男が、どうしたんだい、と振り向く。やっぱりやめる────そう言おうとしたところで、 「大丈夫ですか?」  すっと澄んだ、でも落ち着きのある低い声が、後ろからはっきり届いた。 「え?」  きもおじの方が先に反応した。何をそんなに驚くことがあるのか。  しかし、今日はよく話しかけられる日だな。いや、ここがハッテン場だからか。  でもこのきもおじよりいい男なら、そっちに行ってやってもいい。そう思って振り向いた。
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