パリピ彼氏

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 彼氏はそれからも、何かとサプライズをしてくるようになった。  クリスマスの日のようなドタキャンからの、急な登場は頻繁に繰り返され、彼氏のサプライズのレパートリーも徐々に増えていった。 「話があるんだ」  仕事終わりに電話があり、部屋に行ったことがあった。彼氏はいつもの定位置のソファーにがっくりと項垂れていた。 「どうしたの?」  そう声をかけると、彼氏は神妙な面持ちで、 「クビになったんだ」 とだけ答えた。  それまで彼氏の仕事が不調だという話は聞いたことがなかった。持ち前のコミュニケーション能力を活かして、どこででもうまくやっているものだとばかり思っていた。私は言葉を失った。 「……そう」  私はかける言葉が見つからず、買ってきたものをビニール袋から取り出し、ご飯を作り始めた。彼氏は後ろで動く気配はなかった。ただ、彼氏がどれだけ沈痛な心持ちでいるかを、私がこれから取るべき行動を考えていた。  ご飯をテーブルに並べ始めると彼氏はようやく顔を上げた。それから、ニマッと笑い、 「さっきのジョーダン! 実は昇進しました!」 と、ソファーの影から高そうな酒瓶を出してくる。私は呆気に取られた。テーブルに置きかけていた皿を少し上のところで離してしまったせいで、小さく音が鳴る。彼氏は私の反応も何も気にしていないように、鼻歌を歌う勢いでグラスを取り出してくる。 「だって、最近反応が薄くてサプライズが足りないのかなーって思ってさ」  私は彼氏が注ぐお酒をじっと見ていた。嫌だとは言わなかった。それが彼氏の人柄で私はそれに惹かれて付き合ったのだ。実際に何か害がある訳ではない。  彼氏はどうしようもないことをしたいだけなのだ。
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