パリピ彼氏

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 ある程度彼氏のサプライズに適応できるようになった私は、徐々に彼氏の行動を予測して動くようになっていった。一緒の時間を過ごすことが多い身近な人の行動パターンについては、ふと勘が働くことがある。  それも当然のことだ。私と彼氏が付き合うようになって五年。同棲を始めてからは約二年が経つのだから。それでも、私と彼氏の関係は変わらず、彼女と彼氏のままだった。最近では友人の結婚式に出席する機会が増えてきた。その度に私は、パーティードレスを着て、小さなポーチの中にご祝儀を携えて参加した。そして、大して親しくしていた覚えのない友人を祝福した。彼氏との将来を考えていない訳ではないけれど、私からその話題を出すことはなかった。 「あ、やっぱ、それいいじゃん」  彼氏は、帰ってきた私を見て嬉しそうに笑う。  学生時代にグループディスカッションで何度かメンバーになったことがある友人の結婚式から帰ってきたところだった。 「そうかな?」  数日前、彼氏の見立てで購入したワインレッドの、やけに肩が透けているのが目立つドレスを見下ろす。私は前に着ていた暗め色をしたシンプルなドレスの方を気に入っている。 「絶対そうだって。こっちのが断然似合う。華やかな方がいいよ。だって、あれ喪服みたいだったもん」  彼氏はそう言ってビールをあおるようにして飲む。私も冷蔵庫から冷えたビールを取り出し、彼氏の隣に座る。私の力では一回では開けられず、安っぽいアルミの薄くて鋭そうな開け口の周りに、僅かに白くて細かい泡が弾ける。 「相変わらず缶開けるの下手だよなぁ。これは力じゃなくてコツだよコツ」  彼氏はそう言って私の手から缶を取り上げ、開けてから戻してくれる。すでに少し蓋が開いていたせいでプシュッという気持ちの良い音ではなく、乾いた音が鳴った。 「それより、二次会出て来なかったの?」 「うん、疲れちゃって」  彼氏も私と同じようにそのような会に出席する機会が増えていた。彼氏は交友関係が私より広い分もっと多い。そして、二次会に出席した後もなんだかんだで誘われたら、大抵その後もズルズルと最後までいてくる。そのことを思い出して、私は「会いたくなって帰ってきた」とは絶対言わないことにした。
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