ー第1話 行の巻①ー

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ー第1話 行の巻①ー

仁義礼智忠信考悌 室町時代。里見家の伏姫と八犬士たちが様々な敵と戦う痛快娯楽の物語。 『里見八犬伝(さとみはっけんでん)』 多くの人が知っている、いや知っている人だけ知っている有名な物語である。 しかしここに描かれている『里見八ニャン伝』は、山里外れた里見村を守る為に村長の娘と8人の猫があらゆる敵と戦うスペクタル・アドベンチャー・ストーリー・・・と言いたいところだが、どうやらそうではないらしい。 村長の娘の伏夜が、猫の守護神・大猫神様を助けたことによって作られた猫の剣士・八ニャン士。八ニャン士は里見村と伏夜を守る任務があるのだが、本当にできるであろうか? 『里見八ニャン伝』は、そんな8人の猫たちのドタバタハチャメチャな物語である。 ーーーーー 里見村の村長・似星(にぼし)連太郎の家。ここには村長の娘の伏夜(ふせよ)と、ニャン太郎が一緒に住んでいた。 ある日、伏夜はニャン太郎を探していた。 伏夜(以下:伏)「おーい、ニャン太郎ー! ニャン太郎はどこー?」 ニャン太郎(以下:太)「はい、伏夜様。 お呼びですか?」 伏「お父さんとお母さんがいないんだけど、どこに行ったかニャン太郎は知らない?」 太「あー、ダンナ様と奥様はさっき温泉旅行に出かけて行きましたよ」 伏「(独り言)また私を置いて温泉に行きやがったな・・・」 太「(独り言)うっ、なんかイヤな予感」 ドーン! 伏「今夜のご飯は一体どうすんのよー!」 伏夜の怒り声は家から外にまで響いていた。 太「(独り言)あーあ、また伏夜様の爆発が始まった。 ったく、本当にダンナ様はいい加減なんだから」 伏「まったく、旅行に行くなら早く言ってよね。 とにかく今から私は買い物に出かけるから、ニャン太郎は留守番しててね」 太「はーい、かしこまりましたー!」 伏夜はプリプリしながら1人で買い物に出かけた。 太「やれやれ、この家はいつもドタバタしてるよ」 すると、ニャン太郎の首に着いている『仁の玉』が光り出した。 太「あ、久々の猫上様(ねこがみさま)からの連絡だ。 何だろう?」 ニャン太郎は首に着いている玉をムニュ!と握った。 猫上「えー、八ニャン士の諸君! 今から私の神社に集まりなさーい!」 説明しよう。 八ニャン士の首に着いている玉は『仁義八行(じんぎはちぎょう)の玉』という。八ニャン士全員の首に着いていて、玉が光るとお互いが通信できるものであった。 太「なんだろ? 神社にとりあえず行こう」 ニャン太郎は伏夜に置き手紙をして、里見山にある神社へ向かった。 『伏夜様すみません。猫上様から呼び出しがあって今から神社に行きます。 ニャン太郎』 ニャン太郎が急いで神社に着くと、もう他の八ニャン士はすでに集まっていた。 ニャン丸(以下:丸)「おー、ニャン太郎。 おめーは、相変わらず集まりが遅せーなー」 ニャン蜜(以下:蜜)「ニャン太郎、久しぶりだね。 元気にしてた?」 ニャン助(以下:助)「よー、ニャン太郎。 いっつも遅いよーん」 ニャン平(以下:平)「ニャン太郎、今来たのか。 あー腹減った!」 ニャン子(以下:子)「おや〜太郎〜ちゃ〜ん。 元気だったか〜い?」 ニャン斗(以下:斗)「やあ、ニャン太郎くん。 僕はイケメンだから、君が遅れたって全然怒らないよ」 ニャン吉(以下:吉)「ニャ、ニャン太郎くん、久しぶり。 ぼ、僕は帰りたい」 太「やあ、皆んな。 久しぶりだねー!」 丸「ところで、また何で俺たちを神社に呼んだんだ? あのカミオは?」 子「まったくだよ〜。 あたいだってそんなに暇じゃないんだよ〜」 平「おう、カミオはどこだ! カミオは!」 説明しよう。 皆んなが言っている『カミオ』とは猫上様の本名・猫山上王(びょうざんじょうおう)のことで、それを『ネコヤマカミオ』と皆んなが勝手に呼んでカミオとなった。 猫上「だーれーがー、カミオじゃー!」 突然神社の扉が開き、中からいきなり白装束(しろしょうぞく)の猫上様が現れた。 八ニャン士「ギャー!」 猫上「ワシはこの神社の猫神『猫山上王(びょうざんじょうおう)』であーる!」 蜜「あービックリした」 助「カ、カミオ、いきなり出るんじゃないよん」 斗「僕は平気だよ。 皆んな、もっと楽しくやろうよ」 吉「ぼ、僕は家に帰りたい」 猫上「ホッホッホ、八ニャン士よ。 久しぶりじゃな!」 太「カミオ、いや猫上様。 どうしてまた皆んなを集めたんですか?」 猫上「ホッホッホ、単なる老人の暇つぶしじゃわい!」 八ニャン士 コケる。 丸「カミオ、そんなことで俺たちを呼ぶんじゃねーよ!」 平「冗談じゃねー、皆んな帰ろうぜ!」 猫上「まー待て待て。 うそじゃうそじゃ!」 蜜「だからさ、集めた訳を早く言って下さいよ」 猫上「それが実はの、昨夜ワシの枕元にあいつがやって来たんじゃ」 八ニャン士「あいつ?」 猫上「恐ろしい大トカゲの『ペロンチョ』じゃ!」 八ニャン士「大トカゲー? ペロンチョ?」 猫上「近いうちこの里見村に、あの恐ろしいペロンチョがやって来るのじゃー!」 八ニャン士「ゴックン!」 ーーーーー さあ始まりました里見八ニャン伝 風神雷神編! 八ニャン士は久しぶりの再会を喜んだのも束の間、猫上様から里見村にペロンチョが来ることを告げられた。 はたして、大トカゲ・ペロンチョとは一体何者なのか? しかしペロンチョって、なんかキモい。 次回「行の巻②」をお送りします。 ペロンチョから里見村を守るため、あのイケメン猫の剣士たちがやって来た! お楽しみニャン!
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