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横目でシャロンと思しき女性を見ると、恐る恐る顔を上げ、怯えたような眼差しでこちらを見ていた。
確かにシャロンではあるようなのだが、俺の知っているシャロンより胸が大…いや、髪は乱れ化粧も崩れいかにも泣き腫らしたというように目の周りが真っ赤になっている。
どうして?
今のシャロンの綺麗なグリーンの瞳には光すら灯っていない。
こんな弱ったシャロンは初めて見た。
「…。」
シャロンが何も言わず、再び項垂れてしまったのを確認して、体は歩き出した。
わざとシャロンのそばを通るようだった。
(俺とのゲームを降りたことを後悔しろよ、シャロン。俺は許さないからな!)
すれ違いざまに自分の心じゃない声が頭の中に響いた。
シャロンがゲームを降りた?そんなことあっただろうか。
彼女はいつだって俺との勝負を楽しんでくれた
し、断られたことも無い。
チェスにカードに闘技場…使用人を驚かすことだって内容に関わらず、ずっと2人で勝負し続けてきた。
勝っても負けても文句は無しで、罰則は無し。
降りるなんて選択肢、金銭の懸かった賭け事以外とらないはずなのに、何故俺は許せないのだろうか。
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