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ガバッと飛び起きると、大量の汗で全身ベタベタだった。
さらに手足が冷たく、カタカタと震えが止まらない。
さっき見た光景に思わず首元に手を当てる。
特になんともないことが分かって、少し落ち着いた。
場所もいつもの自室のベッドで、部屋の中は特に変わった様子はない。
夢だとは思うが、心配になってカーテンを開け放ち、外を確認した。
外はまだ夜中の3時だからか薄暗い月明かりだけで、しんと静まり返っている。
外も何かいつもと変わった様子はなく、城の夜間の警備に就いている王国騎士団が巡回しているぐらいだった。
「悪夢か……」
夢だったという安心感に油断したからか、急に立ち上がったからか、強い眩暈と吐き気に襲われた。
立っていられなくなり、その場に倒れ込んだ。
全身の力が抜けて、呼吸が荒くなる。
だが、万が一のことを考えて吐瀉物で窒息しないように、体勢には気をつけておく。
「おぇっ…」
夢だと確認したはずなのに、血の匂いやナイフの感触などが蘇ってきて何度も嘔吐いてしまった。
高い絨毯を汚してしまったことに関して使用人達には申し訳ないと思うが、今この状態では誰かを呼ぶこともこの場から動くことも出来ない。
このまま、朝になって執事が起こしに来るのを待つしか今の俺には出来なかった。
上手く働かない頭をなんとか動かして、思考を巡らせる。
あまりにも鮮明に記憶している夢の内容に、これはただの悪夢では無いと勘が告げているのだ。
おそらくこれは予知夢だ。
俺が今の考えのまま行動した際の未来のビションだ。
一体何があったのか、どうしてこういう結果になったのかは一切分からないが、少なくともアイビーとかいう女には近づかないようにしよう。
シャロンには逃げないように、常に近くにいるべきだろう。
あと、ゲームを降りたということは少しキツい内容があるのかもしれない。
苦手なジャンルぐらい聞いておくべきかもしれない。
とりあえず朝になったら彼女に会いに行って確かめよう。
まずは俺が思う今であるかどうか。
胃液を吐き出しながら、執事が起こしに来るのを待った。
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