ヤキモチと青い月

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長い時間夕焼けを見ながら過ごしていたが、一体今何時なんだろう。 樹はふと腕時計に目をやった。 「もう十八時半だな。どうする?このまま帰る?それとも」 「樹くん!」 話している途中で汐里が言葉を被せてきた。 「私、樹くんの昔のことはほとんど知らないけど……今の樹くんをもっと知りたいって、思っちゃダメ?」 「あれ、またさっきの話?」 付き合い始め、一緒に暮らすようになってお互いのベールに包まれた部分までを知ることになった。 それこそ、樹しか知らない汐里の姿、声、そして感情も多く知ることとなった。 その逆で、汐里にしか見せていない自分というのもあるはずだ。 「オレの『今』は、全部しおりんに見せてるつもりだったけど、まだダメ?」 「もっと、知りたいんだもん……」 請うような瞳で見つめられ、樹はふっと口の端を上げて笑った。 「そんなに煽られたら、思いっきりムード盛り上げないとな」
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