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『明日、彼氏とデートなの』
『きゃー!テンション上がりますね!』
汐里は自分のことのようにドキドキして言った。
『うん!待ち合わせの時ってさ、もうすぐ会えるっていうあのイイ緊張感がヤバくない?』
『分かります~!時計ばっかり見ちゃうの!』
夢見るように瞳を閉じ、汐里はうっとりと答えた。
『結婚したらそういうことも無くなるんじゃないの?一緒に家から出掛けるんでしょ?』
『え?そうですねぇ』
『でも、それはそれで羨ましいな』
そんなやり取りがあり、汐里は樹に久しぶりに待ち合わせをしたいという希望を話したのだった。
樹はそんなことをしなくてもと言ったが、最後は汐里の気持ちを汲んで了解してくれたのだった。
待ち合わせの二時間ほど前に家を出て実家で準備を整えたあと、汐里はお決まりの待ち合わせ場所である横浜駅西口の交番前にやってきたのだった。
「なんかこの感じ久しぶりだな」
「でしょ?待ち合わせもたまにはいいと思うの!」
汐里の右手が樹の左手とナチュラルに繋がっている。
電車に揺られて数分間。
先日、雑誌で見たカフェのランチが美味しそうだと言う汐里に、次の休みに行ってみようと樹が答えてくれたのだった。
電車を降り、店を目指して歩いていく。
隣を歩いている樹のことをふと見上げてみた。
(やっぱり樹くんカッコいいなぁ)
毎日見ている夫の顔なのだが、飽きてこないのが不思議である。
ぼーっと樹の方ばかり見ていた汐里は、足元への注意がおろそかになり急に躓いてしまった。
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