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一方で、私の親戚、長谷川斎(はせがわいつき)くんは、同じカトリックミッションスクールを卒業後、名門H大に進み、現在は実家の老舗洋菓子店“HASEGAWA”を継ぐべく、専務として活躍している。
ちなみに、斎くんは、私の兄の義理の弟にあたる。
2人の出会いから全ての軌跡を見てきた私にとって、この結婚式ほど感慨深いものはない。
出会いは私と美央にとって初めてのピアノ発表会。
私達は幼稚園の年少さんだった。
初めての発表会で緊張していた私達に、お姉さん達のお供で来ていた斎くんがお菓子をくれたのだ。
もちろん、自社HASEGAWAのお菓子。
今でこそしっかり者の美央だが、さすがに4歳になりたてでは、ガチガチで緊張も解し方がわからなかった。
そこに王子様のような少年の登場。
斎くんは今も艶々のココアブラウンの髪に色白のイケメンさんだけど、今よりもさらに全体的に色素が薄かったと思う。
ココアブラウンの柔らかな髪に真っ白な肌、ココアブラウンの瞳。
まさに絵本から抜け出してきた王子様のようだった。
対する美央は、日本人形のような美少女。
真っ直ぐな艶々ストレートの黒髪を肩で揃えたボブカット。
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