親友の結婚式

9/9
前へ
/188ページ
次へ
「…あ、はい。 すみません。兄夫婦は貴賓室におります。」 「主賓のご挨拶をお願いしてるからね。 聖には伝えてくれた?」 「はい。今、兄と歓談中です。」 「そう。ありがとう。 じゃあ、愛ちゃん、受付お願いね。 新郎側は斎の同級生だから、みんな知ってるはずよ。」 「…あ、うん…。 じゃ、じゃあ、行ってきます。」 段取り重視の雅ちゃんのおかげで、取り乱さずにすんだけど…。 蓮が視線を送ってきた。 ………………まずい。逃げたい。 正直、もう一生会うこともないと思っていた。 こんなところで、しかも斎くんの秘書なんて……気まずさしかないのに…。 その後、受付での対応をもう1人の同級生とこなしたものの、内心は上の空だった。 蓮…… 浮いた話ひとつない私にとって、蓮だけは特別だった。 誰にも言ってない。 親友の美央にさえ言えなかった。 私の初恋。 私の初めての相手。 ……一生ものの恋のはずだった……
/188ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1164人が本棚に入れています
本棚に追加