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「…あ、はい。
すみません。兄夫婦は貴賓室におります。」
「主賓のご挨拶をお願いしてるからね。
聖には伝えてくれた?」
「はい。今、兄と歓談中です。」
「そう。ありがとう。
じゃあ、愛ちゃん、受付お願いね。
新郎側は斎の同級生だから、みんな知ってるはずよ。」
「…あ、うん…。
じゃ、じゃあ、行ってきます。」
段取り重視の雅ちゃんのおかげで、取り乱さずにすんだけど…。
蓮が視線を送ってきた。
………………まずい。逃げたい。
正直、もう一生会うこともないと思っていた。
こんなところで、しかも斎くんの秘書なんて……気まずさしかないのに…。
その後、受付での対応をもう1人の同級生とこなしたものの、内心は上の空だった。
蓮……
浮いた話ひとつない私にとって、蓮だけは特別だった。
誰にも言ってない。
親友の美央にさえ言えなかった。
私の初恋。
私の初めての相手。
……一生ものの恋のはずだった……
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