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「なんかさ、マーミンってやることなすこと仰業しいから、両親そろっての進路相談とかさ、うざいんだよね」
「しょうがないよ。仕事だし。責任感じているんだろ」
学校にはマーミンと小学生を担任している年配の先生の二人しかいない。
その年配の先生が校長と教頭も兼務しているから、マーミンの責任マックスなんだろう。と、ぼくはなんでマーミンをかばうのかな、と少し自分を笑う。確かにぼくは優柔不断だけど。
夏美の家の分岐点がやってきた。
「じゃ。リクヤ、月曜日にまたね」
「うん。でもきっと海で会うだろ?」週末休みでも海水浴しか娯楽はない島だ。
いつもこうしてきたのだ。小学校生のハルトとエミを交えての磯遊び。年間をとおして亜熱帯の島は海が遊び相手だ。
夏美は顔を赤くした。
「ううん、家にいると思う。浜には行かない、かな」
とくるりと後ろをむき走っていった。
夏美はこの頃雑誌に載っている少女がみな肌が白いのを気にしていた。それに、水着を着るのも極端に嫌がるようになった。体育も休むことも多い。マーミンが『女の子の日なの』と口を滑らしたものだから、夏美はまなじりをあげて反感を倍増させていた。
夏美は反抗期なんだな、と思う。いや、多感な年齢なんだろう。
マーミンにデリカシーがないし。
しかし自分はどうするんだ、とリクヤは考える。
問題は自分の進路先だった。従兄弟島はもちろんО諸島には高校はない。都内か静岡の伊豆諸島の島に行くしかないのだ。いったいどうしよう、と。二つ上の兄と同じ伊豆大島の下宿で暮らすものだと、両親は思っているみたいだけど。
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