アフターコロナ 2025

7/23
前へ
/23ページ
次へ
 お母さんが麦茶の入ったコップをお父さんとマーミンの前に置くと、マーミンはぼくを直視していった。「リクヤさんの高校進学のことですが、ご本人も、ご家族もさぞ驚かれるでしょうが……」  顔が歪んでいる。まずいものでも飲みこんだような顔だ。場に緊張が走った。  な、なんだ。ぼくは、マーミンの次の言葉を待った。 「リクヤさんの進路先は、強制的に決まりました」 「え?」  ぼくは身を乗り出した。「強制的って、いったい」  誰が? どうして? 「先生、詳しく教えてください」お父さんの顔がこわばる。 「もちろんです。詳しくお話しするために本日参りましたので。つい先日まではですね。リクヤさんの希望どおり第一希望は伊豆大島の高校、第二希望は南海大付属神奈川高校、ここは水泳部がありますからね、その線で行くつもりでしたがですね、メールが来まして」 「メールですって」お母さんが大声で云った。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加