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お母さんが麦茶の入ったコップをお父さんとマーミンの前に置くと、マーミンはぼくを直視していった。「リクヤさんの高校進学のことですが、ご本人も、ご家族もさぞ驚かれるでしょうが……」
顔が歪んでいる。まずいものでも飲みこんだような顔だ。場に緊張が走った。
な、なんだ。ぼくは、マーミンの次の言葉を待った。
「リクヤさんの進路先は、強制的に決まりました」
「え?」
ぼくは身を乗り出した。「強制的って、いったい」
誰が? どうして?
「先生、詳しく教えてください」お父さんの顔がこわばる。
「もちろんです。詳しくお話しするために本日参りましたので。つい先日まではですね。リクヤさんの希望どおり第一希望は伊豆大島の高校、第二希望は南海大付属神奈川高校、ここは水泳部がありますからね、その線で行くつもりでしたがですね、メールが来まして」
「メールですって」お母さんが大声で云った。
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