8人が本棚に入れています
本棚に追加
プロローグ
指のかじかむ真冬のことでした。背の高い森の木々たちは、物言わず、しんと佇んでいます。その森に囲まれて、小さな小屋が、ぽつんと建っておりました。今、小屋に誰かがよろよろと近付いていきます。真っ黒な服を来た、おばあさんでした。
「りんごを買ってくれないかい。どうか、りんごを買ってくれないかい」
ドンドンという戸の音に、小屋の人影がびくりとしました。小屋の中には、見目麗しいお姫様がいたのです。小屋の戸は、決して開けてはいけない。開けたら、大変なことになるからと、お姫様は固く言われていました。けれども、あっけなくお姫様は戸を開けてしまったのです。
このあと起こるのは、悲劇でしょうか。それとも、喜劇でしょうか。
空は、今にも雪が降り出しそうな塩梅でした。
最初のコメントを投稿しよう!