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知らねえうちに、森の深くさ入ってまってで、
んだどもここらは、わの庭だって思ってたはんでや、
方角だの今が森のどの辺だの、村だ海だってどんだけ離れてっかとかや、
当たり前にわかってるつもりだったのさ。
きのこだ山菜だってもうたんまり取り終わってや、
そんで家も、どっちさあるか知ってるからって、
まっすぐ、まっすぐ歩いでらったのよ。
んなのにや、全然着かねえんだ。
初めのうちはや、距離感ってのが何でか鈍ったんだと思ってたんだ、
んだども、なんかちげえって、こらおかしくねえかってなってや。
だはんで一回立ち止まって、もう一回周りさ注意深く見まわしてみるんだ。
んだけど、やっぱしこっちで合ってんだいな。
そこまっすぐ行けば本当は家さ着くはずなんだよ。
けどそれまでそうやって進んで着いでねえから、行がなかったのよ。
しばらあく立ち止まって、辺りば観察してらった。
そいたらね、その着かねえ道の先ば見てたときに、
奥でガサガサってなってや、よおく目え凝らすんだ。
そいたらそこさちっちぇえキツネっこいるんだわ。
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