送りオオカミⅠ

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知らねえうちに、森の深くさ入ってまってで、 んだどもここらは、わの庭だって思って()はんでや、 方角だの今が森のどの辺だの、村だ海だってどんだけ離れてっかとかや、 当()り前にわ()ってるつもりだったのさ。 きのこだ山菜だってもうたんまり取り終わってや、 そんで家も、どっちさあるか知ってる()らって、 まっすぐ、まっすぐ歩いでらったのよ。 んなのにや、全然着かねえんだ。 初めのうちはや、距離感ってのが何でか鈍ったんだと思ってたんだ、 んだども、なんかちげえって、こらお()しくねえかってなってや。 だはんで一回立ち止まって、もう一回周りさ注意深く見まわしてみるんだ。 んだけど、やっぱしこっちで合ってんだいな。 そ()まっすぐ行けば本当は家さ着()はずなんだよ。 けどそれまでそうやって進んで着いでねえから、行がなかったのよ。 しばらあく立()止まって、辺りば観察してらった。 そいたらね、その着かねえ道の先ば見()()ときに、 (おぐ)でガサガサってなってや、よおく目え凝らすんだ。 そいたらそこさちっちぇえキツネっこいるんだわ。
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